木祖村

 「木祖村」は、木曽川の水が生まれる源流の里として知られており、古くは旧中山道の「薮原宿」として栄えた地区です。
旅籠こめや  国道19号線からそれて旧道に入ると、当時の建物は建て替わってはいますが、一部に昔ながらの旅籠や木工芸品の店があり、当時の面影が残っています。
 江戸時代から生産されて、現在のこの地区の伝統工芸品となっている「お六櫛」の店も点在し、当時御嶽信仰、善光寺参りの旅人のお土産として、全国に知られていた様子がしのばれます。
 現在は、その恵まれた自然環境を活かして、冬はやぶはら高原スキー場、夏は天然林ハイキング、キャンプ場等への観光客や合宿での利用を誘致しています。
 また、木曽川源流の里として下流域の自治体、市民団体、学校等の交流を積極的に図り、様々な行事を企画あるいは参加して、水源地の保全の大切さを訴えています。
旅籠こめや また、木曽川源流の里として下流域の自治体、市民団体、学校等の交流を積極的に図り、様々な行事を企画あるいは参加して水源地の保全の大切さを訴えています。
 ところで木祖村の住所は、長野県木曽郡木祖村であり、木曽郡には隣接して木曽町も存在しています。
 なぜ「木曽村」でなく「木祖村」なのかという疑問を村役場の方に尋ねたところ、定説はないが、木曽川の最上流に位置していることから「木曽の祖先」の意味と「木の祖先」を意味するのではないかとの説明でした。
 平成の大合併で塩尻市と一緒になる話もあったようですが、住民の意向が反対なので見送ったとのことです。
 この名が村の名前として残ったのは、個人的には嬉しいことです。
 同じように、名称で木曽川の上流を、味噌川といいますが、これは「未だ木曽にあらず」の意味だそうです。

 

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藪原祭り

藪原祭り

 木祖村では木曽地方の夏祭りの先陣をきって毎年7月の第2金曜日、土曜日に藪原祭り(藪原神社例大祭)がおこなわれます。
 数年前までは7月8,9日に固定されていましたが現在は参加する人々の便宜を考慮して金曜日、土曜日に変更されています。
 梅雨時のため別名「雨降り祭り」ともいわれているそうです。 取材した土曜日も時折強い雨に見舞われてしまいましたが雨中でも手際よく対応されていました。

藪原祭り  祭の主役は御神輿、上獅子の山車、下獅子の山車です。
上獅子は雄で獅子頭が深緑色で力強く壮大に舞います。下獅子は雌で獅子頭は朱色で静と動が感じられる優雅な舞いを披露します。
藪原祭り  一日目は宵祭りと称して上獅子と下獅子が早朝から村の北と南にあるそれぞれの会館を出発して午後と夕刻に街道で舞を披露します。
 二日目は本祭となり、早朝7時に出発した上獅子と下獅子、9時半ごろ藪原神社を出発した御神輿が午前10時半、午後2時、夜8時半に街道を練り歩き、それぞれがすれ違う時にお互いの舞を披露しあう「寄け合い(よけあい)」を繰り返します。
 これには薮原宿内を悪魔退散のための獅子を曳行し、神様にもお出ましを願って各家々の前で舞いを披露し、ご守護を賜りたいという意味があるそうです。
祭は午後10時半まで続きフィナーレを迎えます。

藪原祭り  街道に面した家では居間を開放し、祭の法被を着た参加者には酒肴を振る舞います。
 地元の幼稚園、小中学校はお休みとなり、若者たちも帰郷して運営主体となっているとのことです。
 大きな獅子山車には囃子方や地元の学童達が乗り込んでおり、見物の女性、子供たちも綱を曳くなど全員で盛り上げており、参加し経験することによって伝統ある祭の伝承が図られています。
「藪原祭り動画」                             

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木曽川最源流の標柱

 木曽川の最上流、味噌川に名古屋の水道水源の一つ、味噌川ダムがあります。
 水問題研究所の取材スタッフは、その水源地を訪ねましたのでその様子を紹介します。
 我々が訪れた水源地はさらに上流があり、本当の最上流の探訪は、鉢盛山に登ることとなりますが、今回は源流の標柱を訪れることを目的としました。

木曽川源流

木曽川源流

 味噌川ダムによってできた奥木曽湖の一番奥まで進んだところに、赤いアーチの美しい奥木曽大橋があり、その先はゲートが設置されていて、一般には通行止めとなっています。
 取材班は、木祖村役場のご厚意で木曽森林管理署の許可を得て、役場の方の案内により車2台で先に進みました。
 この時期にしては珍しく3日間も雨が降り続いたせいか(当日も雨のぱらつくあいにくのお天気)山の急な斜面からの落石が山道に点在し、先導で案内の職員の方が、所々車を降りて落石を排除しながらの走行となりました。
 落石といっても、見ると岩にクラックが入って割れてはがれたばかりといった感じのこぶし大の形状で、角が鋭く尖ったものです。
 ゲートから通常なら30分ほどで目的地の源流の標柱に着く予定が、のろのろ運転を余儀なくされて約30分走り、まだ少し距離を残す地点で我々の車がパンク。交換したスペアタイヤではこれ以上の登坂は困難と判断し、役場の車に分乗させていただいて、交代で上を目指すこととなりました。
木曽川源流  しかし先発班の車もあと少しの地点でパンク。歩いての源流訪問となってしまいました。
 残された後続班も携帯電話が圏外の山中、なかなか帰らない先発班のトラブルを知る術もなく、しびれをきらして約50分の山道を登って無事目的地へ。
 メンバーは、普段から歩くことにかけては自信のある者ばかりで、装備もそれなりにありましたので、このハプニングを楽しんで歩くことができました。
 このため源流標柱に着き、沢を流れる清冽な水を口に含んだ時にはかえって満足感が深かったように思います。
 それにしても、都会で日常生活の一部になっている自動車と携帯電話が使えなくなったことで、大自然の中では、文明の利器も全く頼りない存在であることを感じ、またこんな山奥で生まれた水が、途中沢山の河川の水を集めて、我々が普段目にする木曽川になることに、改めて認識を新たにした次第です。
 これからは、水道の水を口にするたびに、あの源流に思いを馳せることになることでしょう。

 最後に、今回お忙しい中、大変お世話になりました木祖村役場の職員の方、本当にありがとうございました。一同、感謝、感謝です。

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水木沢天然林

 木祖村の自然を満喫するには、木曽川源流の里トレッキングがおすすめです。
 木曽川の支流である笹川に流れ込む沢に沿って里山歩きコース、床並の滝、水木沢天然林の3つのコースが整備されています。

水木沢天然林入口

 今回我々は、水木沢天然林を歩いてみました。この林は98%以上が樹齢200年以上の原生林ということです。ヒノキ、サワラ、ネズコ、ブナ、ミズナラなどの巨木が混生しています。 550年の大サワラ  水木沢天然林管理棟を出発地点として、ちょうど数字の8の字を描くように原始の森コースと太古の森コースが整備されており、約3.3キロメートルの行程です。
 管理棟までは車で行き、そこで熊よけの鈴と登山用の杖を貸していただきました。途中にも熊よけの鐘が置いてあるので、鳴らしながら歩いてくださいとの説明にずいぶん山奥深くまで来ているのを実感し、少し緊張して歩き始めました。
 水木沢の渓流を沿いに数分歩くと、大正時代に植林されたというヒノキの見事な人工林があります。
 ここから少し行くと、原始の森コースと太古の森コース分岐点です。
 まず展望台のある左手の原始の森からまわります。
 かなり急な階段状ののぼりが続いた先に大サワラがあります。樹齢550年、直径2.5メートルの巨木で、幹の上部は3本にわかれ見上げても樹の先端はよく見えません。 案内に高さの表示がないのはこんな理由からでしょうか?
展望台より木曽駒ヶ岳  展望台までは出発点から30分、コースで唯一の視界の開ける地点です。
 標高1400メートルの高さの展望台にはベンチがおいてあり、緑の山並みの奥に木曽駒ヶ岳が眺望できます。
 我々の訪れた日は、曇りがちのお天気で稜線の一部に雲がかかってはいましたが、雪の残る木曽駒の姿がはっきりと見られてラッキーでした。
 ウグイスの声を聞きながら10分ほど休憩し、引き返してさらに原始の森のコースを20分ほど歩けば太古の森コースへと入ります。
巨大ヒノキ  このコースの見所は巨大ヒノキですが、途中の巨木たちが自然のままに寄り添い、絡み合い、根の張り方も不思議な造形を見せてくれており、数百年の成長の様子を想像すると楽しくなります。
 特に、コース後半に見られる涼しげに流れる渓流と、樹木の調和の美しさは疲れを忘れます。

渓流

 都会の喧噪を離れて、うっそうとした天然林で時々木もれ日を楽しみながらの森林浴。ほぼ1時間30分のハイキングでしたが、遊歩道も木材チップが敷き詰められて手入れが良く行き届いており、とても心地よくリフレッシュできる時間を過ごせました。

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民宿「りんどう」

 取材に際し今回は、薮原宿場からさらに木曽川を上り、こだまの森ややぶはらスキー場に近い場所にある「りんどう」に宿をとりました。
山菜料理  宿のお母さんが山菜採りの名人で、地元の旬の食材を使用した料理がたっぷりと味わえるとの評判でしたので。
 我々が泊まった日は、残念ながらお母さんは旅行中とのことでお会いできませんでしたが、お父さんと娘さん夫婦の温かいもてなしを受けて一行は大満足。
 期待の山菜は、タラの芽、こごみ、ふきのとう、こしあぶらのてんぷらが山盛りで山の幸の味を堪能。
 これだけでも十分なのに、天然岩魚、野菜の煮物等々、70歳前後の若くない面々にとってはもったいないボリュームでした。
民宿りんどう  それに加え一行を感激させたのは、 「りんどう」 特製の濁酒(どぶろく)であります。
 平成19年秋に、構造改革特別区域法で許可を得て作り始めたそうです。
 発酵途中のうまみのある味わいと、濃厚なのどごしの感触は、口にする人を幸せな気分にすること間違いなし。
 「恋娘」という名前を聞けば又一段と味わいが深まるのでは?
 保冷庫に保管する必要があるので、ここでしか飲めない一品です。

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木祖村アンテナショップ(名古屋市昭和区内)

 木曽川下流域の市町村との結びつきを重視する木祖村は、名古屋市に出張所とアンテナショップを設けています。

 アンテナショップは、名古屋市昭和区桜山商店街の中にありました。
 空き店舗を利用して駄菓子やおもちゃなどを売っている中に、木祖村のブースが設けてあり、木製のおもちゃがたくさん並べてありました。木祖村の木を使って、糸鋸で切り取って作った昔懐かしいおもちゃの数々。

 奥は喫茶兼食堂になっていて、木祖村の新鮮な野菜を使ったカレーライスがここの名物です。
 ちょうど雨の日で、客の姿が見られませんでしたが、店の人に聞くと、売れるときにはこのおもちゃがあっという間に売り切れてしまうこともあるということでした。

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