地藏院おもだかの井戸

地藏院全景
カイズカイブキの古木

 昔、緒川城主水野氏夫妻は子供に恵まれず、当時のこととて神仏にお祈りしていました。

 夫人は以前から、近くのかき殻地蔵を深く信仰し、満願の日になって、いつものように身を清めるため、地蔵堂にある井戸の水を汲もうとしました。
 ところが、井戸の水面に「おもだか」の葉が浮かんでおり、その上に永楽銭が1枚乗っているのを見つけました。これは何か良い知らせがあると思い家へ持ち帰りました。

 間もなく婦人は懐妊し子供が生まれ、産湯もこの井戸水を使ったそうです。



家紋  家紋
(水野家 家紋)
 

 水野氏はこの地蔵を厚く信仰し、井戸は「おもだかの井戸」と名付けて、家絞も「おもだか」と永楽銭を組み合わせたものにしたと伝えられています。

 この井戸は、愛知県知多郡東浦町緒川字屋敷地内の旧道から約30m西に入った地蔵院の中にあります。地蔵院は、境内に見事なカイズカイブキの老木がそびえる簡素なお寺です。

 いわれを記した東浦町教育委員会の立て札がありました。
 そこには、本尊の木造地蔵菩薩が、大昔海岸に流れ着き、かき殻がついていたのでかき殻地蔵と呼ばれたことや、第三代緒川城主水野清忠の奥方が、子宝を授かるようかき殻地蔵に祈願し、沢潟(おもだか)の葉と永楽銭を見つけ、子供を授かったことなどが記してありました。


 カイズカイブキの下に小さな鉢が置いてあって、そこに「おもだか」が植えてありました。訪れたのは9月中旬、「おもだか」の花はそろそろ終わりのようでした。

おもだかの井戸
おもだか

 「おもだか」は葉の形が矢尻に似ているところから、武家の家紋として使われていたようです。水野家の本家は刈谷城にあったので刈谷北高等学校の校章にも「おもだか」がデザインされています。

校章

(刈谷北高等学校 校章)

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住所:愛知県知多郡東浦町緒川字屋敷

地藏院の地図

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立札
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