米原市 居醒の清水

居醒の清水
日本武尊の像
居醒の清水
居醒の清水

 滋賀県米原市の旧中山道、醒井(さめがい)宿に日本武尊(ヤマトタケルノミコト)と清水にまつわる伝説が残されています。
 「日本書紀」によると『日本武尊は父親である第12代景行天皇の命により東国平定を終えて大和の国に戻る途中、伊吹山の神の征伐に向かいましたが戦いで大きな痛手を負ってしまい、命からがら伊吹山を下りました。やっとこの醒井の地にたどり着き、こんこんと湧き出る清水を飲み、体を休めました。目が醒めると不思議なことに高熱もさがり、体の具合が良くなっていました。』
 日本武尊がこの清水で傷を癒したことから“居醒の清水(いさめのしみず)”と呼ばれています。“醒井”という地名もこの伝説が基になったと言われます。

地蔵川
地蔵川の清流

 滋賀県文化振興事業団のホームページによると「石灰岩質の霊仙山(1094メートル)に浸み込んだ水が長い時間をかけて湧き出す居醒清水は一日およそ1.5万トンの湧水量を誇り水温は年間を通じて12〜15度。」、「湧水が流れ出す地蔵川は幅約3メートル、水深0.5メートルの小川で流域に住んでいる人々の毎日の暮らしと密接につながっている。整然とした石積みの河岸には水を汲んだり野菜を洗ったりできるよう水際まで下りられるところがありこれを地元では“かわと”と呼んでいる。」、「昭和30年代に水道が完備されるまでは地蔵川の水は飲用水としても利用されていた。」とあります。(一部編集)

居醒清水
腰掛石と鞍掛石

 醒井は加茂神社の石垣の下から湧き出した居醒清水を源流とする地蔵川に沿って形成された中山道の宿場町ですが、今では民家も多くが建て替わり往時の面影は消えてしまっています。しかし地蔵川は当時の風情をそのまま残しており、我々が取材した12月上旬でも清流に揺られる梅花藻の鮮やかな緑が見られました。
 加茂神社の居醒清水の湧水池には日本武尊の像が建立され、伝説にまつわる、日本武尊が腰を下ろしたという腰掛石、馬の鞍を置いたという鞍掛石があります。
 現在では醒井は明治11年(1878年)に建設された鱒の養殖場が有名になっていますが、これもこの地の豊富な湧水を利用するものです。

梅花藻 梅花藻

 取材班のメンバーは醒井の日本武尊伝説は知りませんでしたがこの養鱒場は幼いころから何かにつけて耳にしておりました。
 この機会に名物のニジマス料理を味わうべく、街道沿いで本陣跡に建てられた日本料理店「本陣 樋口山」の暖簾をくぐりました。
 お昼の懐石料理はニジマス若魚と成魚のお刺身、焼き魚、炊き込みご飯、季節の野菜、吸い物などで量的に程よく、とても上品な味で美味しく頂きました。

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居醒の清水への地図
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