蒲郡の雨乞い
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聖山山頂
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聖山 |
海に面し町の三方を山地に囲まれた蒲郡には、勾配の急な小さな川しかなく、人々は昔から水不足に苦しんでいました。水を求める人々の切実な願いからこの地域には雨乞いの神様があちこちに祀られております。
取材班はこれらの中から3か所を訪ねてみました。
1)聖山
聖山は有料道路三河湾スカイラインが通る遠望峰山(とぼねやま)のふところにある標高328mの山です。山の中腹まで車で行き、聖山登山口と書かれた標識のある場所から登山開始です。
聖山ご神体 |
取材に訪れたのは6月初旬で気候もよく、木陰の中を登るため、暑さも感じず、途中、小鳥のさえずりやアゲハ蝶に癒されながらの登山となりました。しかし思ったより急斜面が多く、落ち葉が一面にあって滑りやすく、平均年齢70歳を超える6人パーティは下山時の足元を心配しつつ、小休止しながら登ることとなりました。25分ほど登ると高さ5mはありそうな大きな岩が現れました。ここがほぼ山頂でこの大きな岩が「お皿さま」と呼ばれる雨乞いの御神体です。
聖山お皿さま |
言い伝えによれば「お皿さま」にはいつも水をたたえたくぼみがあって、日照りが長く続いてったときには農民たちが雨降りのときに着る蓑や笠をつけて、松明をかざしながら山に登り、「お皿さま」に「たにし」を供えてお祈りをすると、たちどころに雨が降る霊験があったそうです。
今回、岩のてっぺんにくぼみは見つかりましたが、水はありませんでした。また、ご神体の岩の前には現在もお供え台があり、いまでも信仰の対象になっているようでした。
蒲郡市の資料によれば、聖山では1994年(平成6年)に50年ぶりの雨乞い祈願がおこなわれたとのことです。
八百富神社
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2)八百富神社
蒲郡の海に浮かぶ竹島に1181年創建と伝えられる八百富神社があります。開運、安産、縁結びの神であり、境内にある4神社のうち、八大龍神社は「雨乞に霊験著しき神様として、遠近に知られております」とパンフレットにしるされております。
現地で見た限りでは霊験の説明もなくその様子はうかがえませんでしたが、やはり1994年(平成6年)には8月に雨乞い祈願がおこなわれたようです。
大巌神社 |
3)大巌神社
蒲郡市西部の捨石にある大巌神社のかたわらの高さ4メートルほどの大きな岩には雨の神様が祀ってあります。岩にはしめ縄がかけられており、言い伝えではこの岩に酒をかけて餅でこすると雨に恵まれるとのことです。
現在は、しめ縄が傷んだまま放置されていてここの神様の出番はないように見受けられました。
雨乞いの習慣は、今では農業用水の利用形態の合理化や気象の変化がある程度科学的に解明されたこともあって、どの地域でもすたれているのは当然のことでしょう。逆に最近では異常気象によるといわれる各地の集中豪雨が大きな問題となってきており、神様には雨を適量降らせて下さるようお祈りする必要がありそうです。
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蒲郡聖山等地図
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